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眞葛香山 研究進む「眞葛焼」

宮川香山の作品の中には、博覧会や美術展覧会の出品目録などで、作品の名前はわかっていても、作品が現存していないために、いったいどのような作品であったのか解明できていないものが多く存在します。

今から11年程前に出版された二階堂先生の本。

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この中では、

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明治三十七年に初代香山が出品した「磁製蕎麦釉古代紋花瓶」などを例に挙げ、

「右に掲げた諸作品は、いずれも現在までの存否が不明であるため、それらがどのような釉薬・釉法によったものかは必ずしも明確ではない」とされています。

しかし、作品が発見されることによって、どのような釉薬・釉法を用いた作品であったのかが明確になり研究が進むことがあります。

今日は、まさにこの「磁製蕎麦釉古代紋花瓶」に関するお話を、、。



今から5年程前のことだったと思います。

初代宮川香山の玄孫の宮川眞(現・眞葛ミュージアム名誉館長)さんを、初めて骨董市にお誘いしました。

年に2回、東京のビッグサイトで開催されている骨董ジャンボリーで、約500軒ものアンティークショップが出展しています。

「眞葛焼を一緒に探しましょう」と一緒に"お宝"さがしをしたのです。

通常は骨董市に行っても、良い眞葛焼というのはほとんど発見することはできないのですが、この日ばかりは子孫とご一緒だったからでしょうか、、、とても珍しい眞葛焼を発見することができたのです!

普段は眞葛焼を扱わないという骨董屋さんが、たまたま仕入れた初代香山の作品を店頭に並べていました。

皇室の旧蔵品であることを示す印が押された箱には、「宮川香山作 蕎麦釉磁製花瓶」とあります。

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作品をよく見てみると、、、、中国古代青銅器風の「古代紋」でした!


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初代宮川香山作 明治天皇旧蔵作品 宮川香山 眞葛ミュージアム保管 個人蔵


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明治時代には、博覧会や美術展覧会などに出品された作品は、皇室などに「お買い上げ」となることがよくありました。

作品の大きさや明治天皇の旧蔵品であることから考えて、骨董市で発見した作品は、明治37年に出品された「磁製蕎麦釉古代紋花瓶」そのものである可能性が高いものと思われます。

ともあれ、このような形で作品が発見されることにより、初代香山の「蕎麦釉」とはどのような釉法で、また「古代紋」とはどのような意匠であったのかということが明らかになるのです。

作品の発見によって、研究はどんどん進んでいるのです。


さてこの作品ですが、さぞ高額だったのではと思われる方もいるかもしれませんが、実はびっくりするほど安く売られていました。(まさに掘り出し物でした)

心を込めて研究や収集をしていると、モノが自然に寄ってきたかのような不思議な経験をすることがよくあります。

この作品もまさにそんな不思議な出会いでした。(同行して頂いた子孫の宮川さんのおかげだと思います)


ただこの話にはちょっとしたオチがありまして(笑)、喜んで購入していざ車に乗せようとしたら、トランクに入らない大きさだったのです(汗)

そこで、宮川眞さんにお願いして、ずっと座席で作品を抱えてもらいながら、車で横浜に戻ってきたのです。(あのときは大変申し訳ないことをお願いしてしまいました、、、)


現在この作品は、他のいくつかの眞葛焼と共に、京都国立博物館が企画した「魅惑の清朝陶磁」展に貸し出しを行っており、全国の美術館を巡回中です。

長崎が終了し、5月には広島で展示される予定になっています。

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魅惑の清朝陶磁 展

京都国立博物館 企画
【巡回】
12月28日~2014年3月3日:長崎歴史文化博物館(長崎市) 
5月27日~7月6日:奥田元宋・小由女美術館(広島県三次市)
8月2日~9月29日:パラミタミュージアム(三重県菰野町)


今日もブログを見て頂き、有難うございました。

眞葛 博士




















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