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新発見 眞葛窯の磁器を使用した瓢池園作品

今日は新発見の大変珍しい眞葛焼をご紹介します。


宮川香山の眞葛窯が、東京瓢池園に絵付け用の生地(磁器)を提供していたことは以前から指摘されていました。

(東京瓢池園は、いわゆる「東京絵付」を代表する窯で、瀬戸などの磁器に上絵付を施す手法で作品を製作していました。後にノリタケに吸収されていくことになります。)

確かに、明治9年のフィラデルフィア万国博覧会の出品目録を見ると、眞葛窯が東京瓢池園に磁器を提供していたことは「文献上」確認することができます。


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「磁器ハ有田瀬戸及太田焼ヲ用ウ」とあります。


(この「太田焼」とは宮川香山の眞葛窯のことを指します。フィラデルフィア万国博覧会では、眞葛窯は「太田陶器」、「太田焼」として表記されています。窯のあった場所が横浜の太田村であったことから、その地名に由来しています)
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「磁器ハ有田瀬戸及太田焼ヲ用ウ」。

確かに眞葛窯の磁器を使用していると書かれていますね。

このように「文献上」では、明治のかなり早い時期から、宮川香山が東京瓢池園に生地として磁器を提供していたことは明らかになっていましたが、実際に作品を見ることはありませんでした。

果たして、眞葛窯は東京瓢池園にどのような磁器を提供していたのでしょうか、、。


昨年、東京瓢池園が眞葛窯の磁器を使用して製作した作品をついに発見することができました!

それがこの作品です。




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東京瓢池園作 眞葛窯製磁器 使用作品 宮川香山 眞葛ミュージアム保管 個人蔵



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宮川香山らしい実に細密な仕事をしています。

作品の裏には、東京瓢池園と眞葛窯の両方の銘を確認することができます。


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重要なポイントは、

・ 明治4年に横浜に窯を築いた眞葛窯は、かなり早い段階から、陶器だけでなく磁器についても製造を行っていた。

・ しかも、かなり緻密な磁器の製造に成功していた。

という点だと思います。


磁器と陶器では、その製法は全く異なります。

眞葛窯が、これまでやきものの文化がなかった横浜で、しかも明治の初期に窯を築いてわずか数年で、陶器と磁器共にかなり高いレベルでその焼成に成功していたことは特筆すべきことだと思います。


明治の初期に、有田や瀬戸に肩を並べて、瓢池園に磁器を供給していた眞葛窯。

この点だけ見ても、初代宮川香山のとてもエネルギッシュな気力、精神力を感じざるを得ません。


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眞葛窯製磁器使用 東京瓢池園作品 宮川香山 眞葛ミュージアム保管 個人蔵


今日もブログを見て頂き、有難うございました。

眞葛 博士




P.S. 今後の眞葛焼研究において、「文献上では確認ができているけれども、実際の作品が発見されていない」というものについて、作品を発見し、その詳細を明らかにしていくことも重要だと考えています。

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コメント 1

AG

眞葛窯、意外と訪ねられる場所であるのを知ったばかりですが、今現在何か目印や碑的なものは残されているのでしょうか?

興味あります。
by AG (2014-11-23 16:40) 

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