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宮川香山 地球規模での宝探し(3)

皆さん、こんばんは~。

テネシーの大豪邸のアンティークコレクションが処分されることになり、その中に眞葛焼があるという情報をキャッチした僕は、その情報主である骨董ブローカーの夫婦に作品の写真をお願いしました。

しかし、「花瓶が大きすぎて持ってこれなかった」とか、「嵐で取りに行かれなかった」など、なんだかんだと理由を告げられ、10日間を過ぎても写真は送られてきませんでした、、、、。

日本の骨董を専門で扱うブローカーではないし、眞葛焼を扱ったことがある感じでもなかったので、もしかしたら、やはり眞葛焼じゃないことがわかって、写真を送りづらいのかもしれない、、、、そんな心配もし始めました。

そんな矢先、ついに数枚の写真がメールで送られてきました!

僕は一枚目の写真を見て、なぜこのアメリカ人夫婦が、この作品を眞葛焼だと確信できたのかが、すぐに理解できました。

DSC04011.jpg

花瓶の口の裏側に張られている古いシールには、英語で、「makuza kozan yokohama」 と記されています。

英語で書かれたこのシールがあったから、日本語がわからず底の銘が読めなくても、また眞葛焼に関する知識がなくても、この作品が眞葛焼だと判断できたのではないか、と思いました。

もし花瓶にこのシールが貼られていなければ、「中国製か日本製の、作家不明の古い花瓶」として処分されてしまっていたかもしれません。

一枚のシールに大感謝です!

次に花瓶の内側を写した写真を見たとき、だんだんと、この花瓶がただの眞葛焼ではないことがわかってきました。

DSC04013.jpg
花瓶の内側

DSC04039.jpg
花瓶の内側

内側の写真を見て、この作品が明治初期の高浮き彫りの作品であることがすぐにわかりました。

宮川香山の眞葛焼は、精緻な細工を施す際、ひび割れしないよう細工の部分を内側からえぐり、厚さを調節しているのです。

また、内部の写真をさらによく観察すると、細工の部分と思われる部分がえぐられているだけでなく、他にも逆に大きく外側から内側にくぼんでいる個所が、多々見られます。

これらを見ると、鳥などの細工が外に出っ張っているだけなく、蓮の葉など花瓶の内部にへこむ造形が多く施されていることが想像できます。

そのような花瓶は、香山の高浮き彫りの作品の中でもさらに少ないものです。

そしてついに花瓶の全体が写っている写真を見たとき、この一対の花瓶は、高浮き彫り作品の中でも優品の部類に属す作品であることがわかりました!

なんと、あのオックスフォードのアシュモリアンミュージアムに収蔵されている初代香山の作品に非常に似ていたのです。

いや、さらに厳密に言えば、似てはいますが、また別の、より写実的で枯れた味わいを持つ作品だったのです。

EA_2008_65-g-L.jpg
(アシュモリアン ミュージアム所蔵)

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(テネシーで新たに発見された作品)

EA_2008_65-b-L.jpg
(アシュモリアン ミュージアム所蔵)

DSC04033.jpg
(テネシーで新たに発見された作品)

今回発見された作品は、アシュモリアン所蔵の作品同様、水鳥、蓮、カワセミがモチーフに使用されていることがわかります。(全面に施された細工を見ると、確かに車で簡単には持ち帰れなかったことが想像できますね。)

この一対の高浮き彫り花瓶は、12月12日に無事に横浜に里帰りを果たしました。(なんて嬉しいタイミングなんでしょう!)

そしてこの作品は、「宮川香山 眞葛ミュージアム」にて、平成23年1月15日より新公開作品として展示が行われることが決定しました。

楽しみですね~。


一枚のシールと、アメリカのkさんに感謝感謝です。

こういう素晴らしい作品との出会いがあると、地球規模での宝探しは、まだまだやめられそうもありません(笑)


今日もブログを見て頂き、有難うございました。

眞葛 博士






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コメント 1

fujii-01

アンテナ張ってるといいことありますよね。

最近、感じるのは香山の作品は香山の作品を呼ぶのでは?と思うことがあります。

よくお金はさみしがりなのでたくさんあるところに寄ってくる・・などということは言いますが、香山もある程度集まってくると運命的に作品が寄ってくるような気がします。

うちも沢山よってきたのですが、残念なのが嬉しい悲鳴か・・・あっという間に皆さんお嫁に行ってしまいました。^_^;

寄ると出て行きやすくなるようです。。。。

by fujii-01 (2010-12-17 22:58) 

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