宮川香山作 七宝筒型灯篭鳩細工梅
みなさんは、この本を覚えていらっしゃいますか?
そうです。内国勧業博覧会美術品出品目録です。
今日はこの本の中から、明治14年に開催された第二回内国勧業博覧会に目を向けてみましょう。
第二回内国勧業博覧会には、宮川香山の高浮彫りの作品の優品が特に多く出品されました。
初代宮川香山作 重要文化財 東京国立博物館蔵
初代宮川香山作 噴水 猩猩
これら、蟹や噴水も第二回内国勧業博覧会に出品されたものです。
(余談になりますが、香山が去ったあと虫明で制作を行っていた森香洲は、明治13年から明治15年までの間、香山を頼り、横浜の真葛窯に滞在していました。伊木家の保護を失い、虫明の立場窯を明治13年に閉じることになったからです。時期的に考えても、香山の第二内国勧業博覧会への出品作の制作には、森香洲も大いに補助を行ったと考えられます。香洲はこの後、虫明に戻り窯を復興させます。)
このときの出品目録をよくみますと、香山は七宝の作品を多く出品していることがわかります。
陶器6点中4点が花瓶で、その4点中、3点が七宝の技術を取り入れた作品になっています。
「七宝筒型雨中に鷺ノ図」
「七宝角竹形竹ノ画」
「七宝筒型灯篭鳩細工梅」
出品目録などに七宝の作品が出てくるのは、この第二内国勧業博覧会が最初で最後で、この後、香山は七宝の技術を取り入れた作品の制作を止めています。
それにしても、これらの作品はいったいどのような作品だったのでしょうか。
文字を見る限り、「陶器の花瓶に七宝をあしらったもの」と理解できるのですが、いったいどのような処理を施した花瓶なのでしょうか。
たとえば、「七宝筒型灯篭鳩細工梅」を想像してみましょう。
筒型の花瓶で、そこに灯篭が描かれていて、鳩の細工がついていて、かつ梅が描かれている。
そんな花瓶のどこにどのように、七宝の技法が取り入れられているのか?
今日は、その答えがわかる作品に触れたいと思います。
第二回内国勧業博覧会出品作「七宝筒型灯篭鳩細工梅」と同時期に制作されたと思われる花瓶です。
「七宝筒型灯篭鳩細工桜」。
梅が桜の木になっています。
七宝の技法は、灯篭に表現されていました。
背景の桜、とてもやきものとは思えない鳩、七宝をあしらった灯篭。
香山の高浮彫り芸術が頂点に達した頃ならではの作品だと思います。
やや控えめに鳩と灯篭だけを高浮彫りにした点が、かえって美術品としての品格を生み、風情のある作品に仕上がっています。
この年以降香山は作風を、優美な釉下彩による絵画的表現へと変化させていきます。
「なぜ作風を変えたのか」という点については、以前のブログに書かせていただきました。
ただ、蟹や、この鳩の作品をみると、香山は高浮彫りの制作に関し、ある種の達成感や満足感のようなものを感じていたのではないかと、私は思います。
「写実の追及」に関する「限界」と「達成感」です。
研究熱心で、チャレンジ精神溢れる香山の性格を考えると、決して同じところに留まる人物でないことは容易に想像できます。
高浮彫りの制作をやめた理由は、実はその「限界」と「達成感」にもあるのではないかと私は思うのです。
miyagawa kozan (makuzu kozan)
それにしてもこの「七宝筒型灯篭鳩細工桜」は見事です。
やっぱり香山はすごいんです!!(笑)
今日もブログを見ていただいてありがとうございました!
そうです。内国勧業博覧会美術品出品目録です。
今日はこの本の中から、明治14年に開催された第二回内国勧業博覧会に目を向けてみましょう。
第二回内国勧業博覧会には、宮川香山の高浮彫りの作品の優品が特に多く出品されました。
初代宮川香山作 重要文化財 東京国立博物館蔵
初代宮川香山作 噴水 猩猩
これら、蟹や噴水も第二回内国勧業博覧会に出品されたものです。
(余談になりますが、香山が去ったあと虫明で制作を行っていた森香洲は、明治13年から明治15年までの間、香山を頼り、横浜の真葛窯に滞在していました。伊木家の保護を失い、虫明の立場窯を明治13年に閉じることになったからです。時期的に考えても、香山の第二内国勧業博覧会への出品作の制作には、森香洲も大いに補助を行ったと考えられます。香洲はこの後、虫明に戻り窯を復興させます。)
このときの出品目録をよくみますと、香山は七宝の作品を多く出品していることがわかります。
陶器6点中4点が花瓶で、その4点中、3点が七宝の技術を取り入れた作品になっています。
「七宝筒型雨中に鷺ノ図」
「七宝角竹形竹ノ画」
「七宝筒型灯篭鳩細工梅」
出品目録などに七宝の作品が出てくるのは、この第二内国勧業博覧会が最初で最後で、この後、香山は七宝の技術を取り入れた作品の制作を止めています。
それにしても、これらの作品はいったいどのような作品だったのでしょうか。
文字を見る限り、「陶器の花瓶に七宝をあしらったもの」と理解できるのですが、いったいどのような処理を施した花瓶なのでしょうか。
たとえば、「七宝筒型灯篭鳩細工梅」を想像してみましょう。
筒型の花瓶で、そこに灯篭が描かれていて、鳩の細工がついていて、かつ梅が描かれている。
そんな花瓶のどこにどのように、七宝の技法が取り入れられているのか?
今日は、その答えがわかる作品に触れたいと思います。
第二回内国勧業博覧会出品作「七宝筒型灯篭鳩細工梅」と同時期に制作されたと思われる花瓶です。
「七宝筒型灯篭鳩細工桜」。
梅が桜の木になっています。
七宝の技法は、灯篭に表現されていました。
背景の桜、とてもやきものとは思えない鳩、七宝をあしらった灯篭。
香山の高浮彫り芸術が頂点に達した頃ならではの作品だと思います。
やや控えめに鳩と灯篭だけを高浮彫りにした点が、かえって美術品としての品格を生み、風情のある作品に仕上がっています。
この年以降香山は作風を、優美な釉下彩による絵画的表現へと変化させていきます。
「なぜ作風を変えたのか」という点については、以前のブログに書かせていただきました。
ただ、蟹や、この鳩の作品をみると、香山は高浮彫りの制作に関し、ある種の達成感や満足感のようなものを感じていたのではないかと、私は思います。
「写実の追及」に関する「限界」と「達成感」です。
研究熱心で、チャレンジ精神溢れる香山の性格を考えると、決して同じところに留まる人物でないことは容易に想像できます。
高浮彫りの制作をやめた理由は、実はその「限界」と「達成感」にもあるのではないかと私は思うのです。
miyagawa kozan (makuzu kozan)
それにしてもこの「七宝筒型灯篭鳩細工桜」は見事です。
やっぱり香山はすごいんです!!(笑)
今日もブログを見ていただいてありがとうございました!
この作品、2007年6月にテレビ東京の『開運!なんでも鑑定団』に出された香山作品に似ていますね。ランタン(と中島誠之助さんは言っていたと思います)の赤が七宝焼きで、高さ約66cm。中島誠之助さんがこれだけの大きさの高浮彫りというのは技術的にとっても難しいといったコメントをしていたと記憶しています。
by Jack (2008-08-16 00:48)
こんにちは。コメント頂きありがとうございました!そのとおりで、鑑定団で紹介された花瓶と同じ花瓶です。中島誠之助さんの鑑定もjackさんの書かれているとおりであったと記憶しています。jackさんのブログを見ていて、思ったのですが、jackさんはすごく頭の良い人なんだなあ、、と思っていました(笑)もし、私が本当の真葛博士になれて、本などを執筆するということになった場合には(笑)これからの時代、英語と日本語両方の表記は不可欠だと思いますので、そのときはぜひ相談にのっていただけたらうれしいです。本は、半分冗談ですが、半分本気で考えていて、僕の夢なんです(笑)鑑定団には、この作品を含んで、過去5つの真葛焼が取りあげられていたと思います。ここに書きたいのですが、正直香山のネタだけで、何年ブログが続くだろうか、、、と不安な部分がありまして(汗)、「鑑定団に紹介された真葛焼」という題で、5日分のネタになるかなあ、、、などとやましい気持ちになってしまいました(笑)毎日ネタを考えるのは意外に大変なんです(笑)。jackさん、コメントありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。
by makuzu (2008-08-16 08:34)