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宮川香山  真葛焼とパリッシー(Palissy Ware)

皆さん、こんにちは~。


宮川香山は、なぜ高浮彫りと呼ばれている精緻な細工を施した独特のやきものを製作したのでしょうか?

これまで、パリッシー(Palissy Ware)と香山の関連性が指摘されることはなかった思いますが、僕は、香山がパリッシーからも影響を受けた可能性があると考えています。

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『Palissy Ware』 Marshall P. Katz、Robert Lehr (1996/05) 表紙より

パリッシーウェアは、Bernard Palissyによって今から400年以上前に創られたやきものです。
これが、1800年代になり復活し、ロンドン万国博覧会などで再び脚光を浴び、欧米ではちょっとしたブームになっていました。

明治の日本では、海外で売れる作品を作ることが宿命でもありましたから、香山が欧米でパリッシーが人気だと知れば、少なからず影響を受けたと思うのです。

また明治9年に、サウスケンジントン博物館が帝国博物館(現在の東京国立博物館)に多くの美術品を寄贈しているのですが、その中にも復刻されたパリッシーウェアが含まれていました。

明治9年といえば、宮川香山が細工を施した作品を作り始めた頃です。

宮川香山も帝国博物館で、まるで生きているかのような細工を施したパリッシーを見ていた可能性も高いと思います。

海老や蛙、トカゲ、魚などの細工を施したパリッシーウェアを見ていると、香山の高浮彫りに通ずるものを感じますよね、、、。

hb_53_225_52.jpg

メトロポリタン美術館蔵 パリッシーウェア
Platter, last quarter of 16th century
School of Bernard Palissy (French, 1510–1589)
Made in France
Lead-glazed earthenware
http://www.metmuseum.org/toah/works-of-art/53.225.52 より



初代宮川香山はどこからインスピレーションを得て、高浮彫りを製作し始めたのか?

僕は、横浜に来る前に窯の指導に行っていた備前の細工物、そして薩摩焼の捻りもの、さらにこのパリッシーウェアからもインスピレーションを得て、高浮彫りの作風を確立していったのではないかと考えています。

現在それを立証すべく鋭意史料収集と研究を行っています。



さて、ブログでご紹介したメトロポリタン美術館収蔵のパリッシーウェア。
実は、今日本に来ているのです!

東京上野の東京都美術館のメトロポリタン美術館展にて、現在展示中です。(~2013年1月4日)
http://met2012.jp/

おっ!こんな時間。 それでは上野に行って参ります~(笑)




今日もブログを見て頂き、有難うございました。

眞葛 博士
















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坂上しのぶ

今、わたしもちょうど、パリッシーと宮川香山の影響について思いついていたところです。宮川香山より少し早い時代のJopeph Landais(
1829-1908)がつくっていた高浮彫のような作品や蛇や虫などをモチーフにしていた作品が宮川香山の目になんらかの形で触れたのだと思うのと、そのLandaisが影響を受けているのがパリッシーだという記述があったからです。

明治時代の日本と西洋文化がどこまで交差していたのかって、生きていなかったから計り知れませんよね・・・。でも楽しそうです。何か見えてきそうですね。
by 坂上しのぶ (2012-10-30 11:46) 

眞葛 博士 (マクズヒロシ)

出張に出ておりまして、コメントの確認が遅れてしまい申し訳ありませんでした。コメントを頂き感謝しております。

明治時代というのは、ついこの間のような気もしますが、いろいろとわかっていないことも多いですよね、、、。想像以上に海外との交流が多く、影響を与えあっていたのかもしれません。今後とも色々とご指導のほど宜しくお願い致します。
ありがとうございました。
真葛博士

by 眞葛 博士 (マクズヒロシ) (2012-11-01 13:08) 

ギャラリーまる

東京に近くていいですね。
大きな美術展は、大阪を飛び越えていきます。
by ギャラリーまる (2012-11-06 15:35) 

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