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眞葛香山 初代宮川香山の未公開 青磁作品

前回のブログでは、『世界に愛されたやきもの 初代宮川香山作品集』に未掲載で、眞葛ミュージアムでも未公開の作品を紹介させて頂きました。

実はあの後、ミュージアムスタッフから「未公開作品は展示替えの目玉になるので、事前にあまり積極的に公開してほしくないのですが、、、、苦笑」と言われてしまいました、、、笑。

それにもめげず、今回も未公開作品をご紹介したいと思います!(今後はぼちぼちとご紹介していきますね)

今回ご紹介するのは、この作品です。



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初代宮川香山 最晩年作 「鍾馗」  宮川香山 眞葛ミュージアム保管 個人蔵




青磁の色が何とも言えない魅力に満ちています。

真葛窯では、二代宮川香山が多くの青磁作品を製作していますが、実は初代宮川香山の青磁作品というのは、それほど多くありません。

わずかに現存が確認できるのは、初代香山が晩年製作した青磁作品で、そのクオリティーは非常に高いものとなっています。

今回ご紹介したこの「鍾馗」も、その箱書きを見てみますと、、、、


_DSC1760.jpg


「丙辰五」、つまり大正五年を示す製作年が記されており、初代香山の最晩年の作品であることがわかります。

作品をじっくりとご覧ください。


_DSC1771.jpg


鍾馗の凛とした気迫が伝わってきますね。

実際の青磁の色は写真で見る以上に魅力的です。

この作品は、次々回の展示替え(次回の展示替えが8月で、次々回は12~1月を予定)でミュージアム初公開となる予定です。

今回は、初代香山が製作した青磁作品をご紹介させて頂きました。


今日もブログを見て頂き、有難うございました。

眞葛 博士





P.S.
 よく「なぜ眞葛焼を収集・研究されているのですか?」と聞かれます。実は、やきものが好きだったからというわけではなく、” 埋もれさせてはならない郷土の歴史・文化 ”だと強く感じたことがそのきっかけでした。

 最近は、” 埋もれている幕末・明治期の遺構 ”に強い関心を抱き、一昨年、横浜市立大学大学院に入学し、それらの遺構の保存のあり方について研究を継続しています。

 ペリーが来航し、開港都市として多くの文化を育んだ横浜。しかし、横浜の市街地は、関東大震災と横浜大空襲で二度に渡り灰塵と化し、残念ながら、幕末・明治期の建造物のほとんどは消失してしまいました。

 しかし、地面の下には、幕末・明治期の遺構が多く残されているのです。それらは今、開発工事などで次々と破壊され、消失の危機に直面しています。

 先日、横浜市が編集する季刊誌「横濱」の取材を受けました。大変ありがたく思います。

横濱春号_表紙.jpg


横濱春号_記事.jpg

http://www.city.yokohama.lg.jp/shimin/koho/kikanshi/044.html


地下に埋もれている文明開化期の横浜を象徴する数々の遺構。

それらにより目を向けて、地域住民や観光客、そして地元企業などが協力して保全し、次の世代へと引き継いでいきたいものですね。

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semitaro

今回、あらためて眞葛博士さんが宮川香山の作品蒐集、研究に情熱を傾けている理由の一端がわかり、やはりその高い志に敬意を表したいです。
現在、私立美術館の多くは企業の創業者などが骨董趣味から蒐集し発展、今日に至っている例はよく聞きます。眞葛博士さんのされていることは、それらと違っていて、美術作品、歴史的遺産ひいては貴重な文化として、手をかけて保存につとめなければ、忘れ去られ、散逸し、やがて消失するものだということを、私財を投入しての奮闘ぶり頭が下がります。横浜が文明開化発祥の地といわれますが、歴史的に重要な遺構はほとんど残っていないのですね。
それから、眞葛ミュージアムのスタッフの方から、未展示作品をブログで紹介することにシブい反応とありますが、私はブログとミュージアムで実物に接することとは、全く別物と思っています。作品紹介され事前情報なり、予備知識が増え、ミュージアムでの鑑賞に大きな助けになります。ですからこれからも紹介よろしくお願いいたします。
by semitaro (2014-05-20 18:14) 

眞葛 博士 (マクズヒロシ)

semitaroさん、いつも本当に励ましのコメントを有難うございます。また、ブログでの作品紹介に関しましても、「ミュージアムでの鑑賞の大きな助けとなる」という考え方もあるのだと大変勉強になりました。大いに参考にさせて頂き、これからもこのブログで作品の詳細をご紹介させて頂くようにしたいと思います。どうぞこれからも宜しくお願い致します。
by 眞葛 博士 (マクズヒロシ) (2014-05-21 21:52) 

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