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ニューヨークの大富豪が所有していた真葛焼

真葛焼以外の研究で、100年以上前の洋書を調査していたところ、本の中に偶然真葛焼を発見することができました。その本は、、、

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『Mr. Vanderbilt's house and collection』1883(明治16)年

今日はそのご報告を、、。





場所は、ニューヨークのフィフスアベニュー。

5番街にかつてお城のような豪邸がありました。


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豪邸の所有者は、アメリカの鉄道王 ウィリアム・ヘンリー・ヴァンダービルト(William Henry Vanderbilt, 1821 - 1885)。

彼は世界屈指の富豪であり、亡くなるときの資産は世界一であったとも言われています。

1884年に出版された『Mr. Vanderbilt's house and collection』には、文字通り、彼の邸宅とコレクションについて詳細に記載されています。

5番街の邸宅には、日本趣味でまとめられたコーナーがありました。

よーーく観察していると、、、


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初代宮川香山の眞葛焼のようなものを発見しました!

この花瓶は彼のコレクションの中でも注目すべきものらしく、別ページに大きくそのスケッチが掲載されていました。


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キャプションには「SATSUMA VASE, WITH BEARS AND FALCON」と記載されており、「薩摩焼」と書かれていますが、、、。

熊の部分をよく見てみますと、、、


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ニューヨークのクリスティーズのオークションに出品され、現在宮川香山 眞葛ミュージアムに保管されている初代宮川香山の真葛焼にとても良く似ているのです。


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初代宮川香山作 個人蔵 宮川香山 眞葛ミュージアム保管


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初代宮川香山作 個人蔵 宮川香山 眞葛ミュージアム保管


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初代宮川香山作 個人蔵 宮川香山 眞葛ミュージアム保管


似ていますよね。

『Mr. Vanderbilt's house and collection』に掲載されている「SATSUMA」は、宮川香山の眞葛焼でまず間違いないでしょう!

明治の初期、海外では「眞葛焼」・「宮川香山」というブランドとしてはまだ確立されておらず、ハイクォリティーな「SATSUMA」として販売されていたのかもしれません。(そのような意味でも貴重な史料だと思います)

当時、海外ではどのような人物が眞葛焼を購入し、そしてどのように飾っていたのかを知ることができるとても興味深い史料です。


このように、眞葛焼について調査をしているわけではなかったのに、偶然眞葛焼に関する事柄を発見することが多くあります。(つい先日も修士論文の執筆の際に、京都の町並み保存の資料を調査していたら、偶然に京都時代の香山に関する記述を見つけました。このことはまた別の機会に、、、)


ニューヨークの大富豪の邸宅を飾っていた眞葛焼。

何だかとても嬉しい気持ちになりました。


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今日もブログを見て頂き、有難うございました。

眞葛 博士




P.S.
この史料ですが、発行部数も少なくなかなか現物を見ることはできないと思います。
海外のブログで、この史料が詳細にアップされているブログを発見しましたので、リンク致します。→ http://halfpuddinghalfsauce.blogspot.jp/2012/09/mr-vanderbilts-house-and-collection.html (THE COUNTRY HOUSE )











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