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宮川香山 溢れる創造力と起業家魂「新規発明 眞葛焼」

1877(明治10)年8月21日から11月30日まで、東京の上野公園(旧名:忍岡)にて、第一回内国勧業博覧会が開催されました。

初代宮川香山も、この内国勧業博覧会に出展していました。

香山が横浜の太田村に窯を築いたのは明治4年のことですから、その6年後、つまり初代香山が36歳の頃のことです。


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第一回内国勧業博覧会之図 清親画(星野平次郎氏蔵) 上野観光連盟H.P.より

不忍池が大きく描かれていますね、、、。


当時の博覧会では、作品を展示するだけでなく販売も行われていました。というよりも、販売することを目的に開催されていたと言ってよいでしょう。

もちろん初代香山も作品を販売していたのですが、その販売方法がとても斬新なのです。

当時の広告を見てみましょう。


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『かなよみ』第448号 明治10年8月20日


「新規発明 眞葛焼

この度、上野公園において開催される内国勧業博覧会において 私は自作の真葛焼の陶器を出品します。

皆さんのご要望に応じて山水なり墨竹なり、ご自身でお描きいただいたままを不忍池の土を使った陶器に写し取り、20分ばかりで新しく開発した真葛焼を制作してお求めに応じます。

また、本格的な焼物(本窯土焼)や磁器(石焼)などは二週間ほどお時間をいただければ精製してご要望にお応え致します。

何卒、ご愛顧いただいております皆様方のご来場をお願い致します。

製造人 横浜西太田 宮川香山 」


”不忍池の土を使って、お望みの図案で、その場で20分で焼き上げる”というのです。

何とも斬新なアイデアなのでしょう!

しかも、広告戦略にも抜かりはありません。

確認が出来ているだけで、計4回も『かなよみ』に同じ広告を出しているのです。(明治10年8月15日、18日、20日、27日)

初代香山の溢れる創造力と起業家魂を窺い知ることができます。



僕は、この『かなよみ』の広告を見つけてから、ずっとこのときの作品を探し続けてきました。

そしてついにやっと、京都で発見することができたのです。


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初代宮川香山作 「新規発明眞葛焼」 宮川香山 眞葛ミュージアム保管 個人蔵



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於上野博覧場以 忍岡蓮池之泥 造之 眞葛香山


不忍池の蓮をモチーフにした器に、「上野博覧会の会場に於いて、忍岡蓮池の泥を以って之を造る 眞葛香山」とあります。


この作品には、初代宮川香山の溢れる創造力と起業家魂が込められています。

僕の大好きな眞葛焼のひとつです。


今日もブログを見て頂き、有難うございました。

眞葛 博士




















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コメント 2

まーちゃん

凄いですね。
良く、さがされたと思います。

出来れば、この作品も、ミュージアムで見たいとおもいます。
可能でしょうか?
by まーちゃん (2014-04-18 14:09) 

眞葛 博士 (マクズヒロシ)

まーちゃんさん、コメント頂き有難うございました。
いずれ展示替えのときに、公開したいと思っています。
ただしっかりと解説をつけなければ魅力が伝わらないと思うので、少しその辺りの課題が残っています。
イベントでセミナーなどを開催して、解説し、実際に触って頂いたりするなども検討したいと思います。
コメント頂き、励みになりました。有難うございました。

by 眞葛 博士 (マクズヒロシ) (2014-04-19 11:28) 

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